特集 健康な暮らしを守る住まい
住宅改造を支援する市民活動と地域システムづくりへの取り組み
本干尾 八州子
1
1津山市健康増進課
pp.1122-1127
発行日 1998年12月10日
Published Date 1998/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901906
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はじめに
高齢者・障害者の生活支援のため,在宅福祉の充実が叫ばれて久しい。しかし,当事者が生活を送る場である住宅環境の整備は個々人の責任に負うところが大きく,そのニーズも顕在化していない状況であった。また,日常的に訪問・支援活動で関わる保健婦やホームヘルパーは,その問題に気づき始めていたが具体的な支援策もなく,保健・福祉分野だけで対応することへの限界を感じていた。
津山市では,建設省補助事業である地域住宅計画(HOPE計画:Housing with proper environment)の策定をきっかけとして,高齢者・障害者の住宅改造を考える市民参加型の研究会「津山まちづくり市民会議福祉住宅部会(以下,「部会」という)」が発足した。部会のメンバーは,高齢者・障害者の住宅設計や改造,施工に関心のある建築関係者や,保健・福祉の現場で住宅環境整備の必要性に迫られた保健婦・OT・ホームヘルパーなどの専門職,一般市民であった。この部会では,平成3年度から活動を開始し,部会員である異業種(建築・保健・福祉・医療の専門職)が,ボランティアの立場で,リフォームチーム(以下,「支援チーム」という)をつくり,訪問,改造のプランニング,簡易な施工に関わってきた。住宅改造を支援する活動を通じて,その重要性と課題を実感しながら,公的制度の充実や創設に向けた働きかけを行った。
これら住宅改造支援システムや制度化に至る過程を紹介するとともに,今後の課題について考えたい。
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