特集 身体障害者の地域ケア
身体障害者のための住宅改造
野村 歓
1
Kan NOMURA
1
1日本大学理工学部建築学
pp.620-624
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206149
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■はじめに
昨年,筆者はある調査・研究グループの一員として,A市に居住する約100名の在宅身体障害者(以下,身障者と略す)に対し,「社会・家庭で自立するための条件は何か」を中心に住宅,介護,緊急一時保護,外出の手段などについて訪問調査を行なった.その中で,住宅改造をすれば日常生活が独力でできるのに家族の介護を受けていたり,住宅改造をしていても十分な効果をあげていない例も,いくつか見られた.また,介護については家族はもとより本人にとっても負担が大きく,ホームヘルパー制度があるにせよ,時間的・内容的に必ずしも十分でないように思えるようなことが,しばしば見受けられた.
しかし,いろいろな不便があるとしても,家族のいる住宅での日常生活は施設では得られない充実感がある.今日のようにコミュニティーケアが叫ばれ,在宅福祉施策の福祉行政の中心になってきたのも当然であり,今後インテグレーション,ノーマライゼーション,さらには国際障害者年(1981年)のテーマ「完全なる社会参加と平等」等等の動きから見ても,地域社会に居住し,社会参加する考え方が基本となろう.それを成り立たせるには,住宅は非常に重要な意味を持っているように思う.これを箇条書に整理してみると——.
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