特集 健康な暮らしを守る住まい
健康な暮らしを守る住まい—「住まいと健康」問題と保健婦のアプローチ
鈴木 晃
1
1国立公衆衛生院建築衛生学部
pp.1082-1087
発行日 1998年12月10日
Published Date 1998/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901900
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「住まいと健康」問題の特徴と日本の特殊性
「住まいと健康」問題を解説するとき,まず次のような問いを投げかけることが多い。建物とその利用者の健康との関係を考えるとき,その建物が事務所ビルである場合と住居である場合でどのような違いがあるだろうか。「住まいと健康」問題は「ビルと健康」問題とどう異なるかという設問である。いくつかある回答のうち以下の2つが「住まいと健康」問題の特徴をとくに現しているように思う。1つは「ビルには『ねたきり老人』がいない」。いま1つは「ビルにはビルを管理する専門業者がいる」である。
前者は利用者の多様性の問題だが,不特定多数が利用するビルの方が利用者は多様であると一般には考えられているだろう。しかし健康状態という視点でみれば,新生児や乳幼児から療養者や「ねたきり老人」まで,住居の居住者の方がはるかに多様である。
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