暮らしが住まいを変える

近代の空間としての郊外住宅

　小さなダイニングキッチンの前でフレアスカートを着てほほえむ専業主婦．所帯やつれしたおかあさんから美しいママへ，ちゃぶ台の床座からダイニングテーブルのイス座へ．人造石研ぎ出しからステンレス流しへ．未来は輝いている，ように見えた1950年代．

　ステンレス流しは主婦のあこがれのモノだからピカピカに磨き上げられていたし，専業主婦のほうも夢のアメリカンライフを体現するひととしてあこがれの存在であった．だがいまではあれほど熱いまなざしを，専業主婦やステンレス流しに向けるひとはいない．