連載 公衆衛生院からの発信・18
特別課程住まいと健康・建築物衛生
池田 耕一
1
,
鈴木 晃
1
1国立公衆衛生院建築衛生学部
pp.528-529
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902547
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大学の建築学科や住居学科の住教育,建築教育が,基本的に建築する側の技術教育であるのに対して,国立公衆衛生院での住教育,建築教育はそれと異なり,居住者の居住支援を目的とした専門家教育である.既に公衆衛生の現場の経験をもつ保健婦や医師,環境衛生監視員などに対して,住生活問題の発見のための視点や問題解決の技術,コーディネートや住教育,建築教育の方法論を提供しようとしている.その成果は,各自治体の保健・衛生行政の取り組みや看護教育における住教育,建築衛生教育に一部反映されてきている.「住まいと健康」問題が,新しい問題を含みつつ深刻化している要因として,住宅市場の変化を指摘することができる.都市部の住宅市場は住宅の商品化の進行に伴い,「つくり手」と「住み手」が直接対面する機会が少なくなった.住んで後の問題を「住み手」から「つくり手」に直接投げかけていたかつての回路は分譲住宅,建売住宅などという市場によって切断されてしまった「住み手」の生活情報を「つくり手」にフィードバックすることは,個別住宅問題や建築物における衛生問題の解決の支援と同様に公衆衛生専門職の重要な役割となっている.
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