活動レポート
日本の難民の医療状況―医療相談をとおして
山村 淳平
1
1港町診療所内科
pp.407-411
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100309
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世界の地域紛争や政治的・民族的迫害によって多くの難民が発生している.そのほとんどは近隣諸国に逃れているが,その一部は先進諸国に保護を求め流入している.
日本は1981年に難民条約を批准し,難民の受け入れを表明している.しかし,その実態をみると,日本政府は難民(および申請者)を保護しているとはけっしていえない.1996年以降,年間300~500名が難民申請しているが,2003年に認定されたのはわずか10名(認定率3%)にすぎず1),アメリカ2万7千名(同48%),イギリス2万2千名(同26%),フランス1万千名(同35%),ドイツ7千名(同9%)の認定者数とは比べものにならないほどの少なさである2).しかも住居・職業・医療・教育などの基本的な生活支援はほとんどなされておらず,就労が許されていないこともある.欧米では,難民申請中であっても,生活支援制度があり,医療は保障され,就労も許可されているのとは大きな違いである.
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