研究
精神障害者家族会の成長段階に応じた支援のあり方—家族会と専門職の関係性に注目した事例調査の分析
蔭山 正子
1
,
大島 巌
2,4
,
桶谷 肇
3
1東京大学大学院医学系研究科地域看護学教室
2東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
3全国精神障害者家族会連合会
4全国精神障害者家族会連合会精神保健福祉研究所
pp.576-582
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901809
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要約
現実的には家族会の多くが専門職に依存しているが,家族会の自立に向けた支援のあり方は,現在その家族会が置かれている状況や家族会の成長段階に応じて異なる。本研究では,家族会の成長段階に応じた,専門職との関係性と現在置かれている状況を明らかにし,将来の方向性を踏まえた支援のあり方を検討する。成長段階は,専門職との関係性および相互支援機能の2側面から4つのタイプに分けたモデルを作成し,現状を把握するとともに,家族会と専門職が認識する将来の方向性を把握した。類型化した精神障害者家族会の中から17家族会を選び,会の代表者と支援する専門職に面接調査を行った。
類型を家族会の成長段階において,初期段階(I群),後期段階から機能が低迷した段階(II群),機能は良いがまだ専門職から自立していない初期段階から後期段階への成長過程(III群),後期段階(IV群)と位置づけることができた。また,将来の方向性として,家族会は当面III群を,専門職はIV群を目指し,両者で目指す方向性が異なることがわかった。家族会を支援する専門職としては,家族会の成長段階における位置づけ,家族会と専門職の目指す将来の方向性のずれに応じて,支援のあり方を考慮する必要があると考えられた。
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