調査報告
シルバー相談窓口にみる老人のメンタルヘルス
後藤 悦子
1
,
東保 みづ技
1
,
増井 玲子
2
,
山内 千代
3
1大分県精神保健福祉センター
2老人保健施設健寿荘
3わかば台クリニック
pp.583-587
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901810
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要約
当センターでは,老人の相談窓口としてシルバー相談を設けている。今回,平成7年4月〜8年12月の相談状況をまとめ,シルバー相談の特徴を分析した。
約2年間の相談48件について,性格,年齢別,診断別に分析すると同時に,相談の傾向と特徴を診断別にまとめ,以下のような結累を得た。
①診断別では,痴呆に関する相談が4割,神経症や分裂病圏の相談が2割弱を占め,幅広く多彩な老人の精神保健相談を受けている。
②来所者の中心は家族であるが,神経症や鬱病の場合には本人が来所することもある。また,1人暮らしの場合には,在宅介護支援センターや老人保健施設の職員など関係者からの相談もあった。
③相談内容は,「病気かどうか」という診断を求められていることが主体の相談から,診断や症状の説明を関係する家族に伝えることにより,家族間の調整役を果たす相談もあった。
④介護の面では,福祉サービスの利用者はほとんどなく,福祉サービスの内容や利用の仕方を知らず,さらなる情報提供や関係機関との連携が必要と思われた。
⑤高齢化社会がますます進展するにつれ,老人の生活の場所の変更が,メンタルヘルスに及ぼす影響はさらに増加するのではないかと予測される。
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