研究
小規模事業所における健康管理について考える
水島 ゆかり
1
,
小早川 和子
2
,
小林 明日美
3
,
谷内 憂子
4
,
樋口 律子
5
1富山医科薬科大学大学院医学系研究科
2広島県広島市立舟入病院
3岐阜県高山市役所
4石川県高松町役場
5新潟県三条市役所
pp.569-574
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901808
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要約
労働安金衛生法では,従業員50人末満の事業所における健康管理について明確な規定がされておらず,健康管理が十分に行われていないといわれている。そこで筆者らは,小規模事業所における事業主および従業員の「健康に対する意識」と,事業所における健康管理の実態との関連を探るためにアンケート調査を実施した。
その結果,事業主・従業員の「健康に対する意識」が事業所における健康管理事業の実施に関連していた。事業主の「自分の健康に対する意識」が高い事業所の方が,健康管理事業を行っており,事業主が従業員の健康について責任を感じている事業所ほど職場健診を実施していた。小規模事業所では,「時間がない」「予算がない」「方法が分からない」ために,健康管理事業が行われにくいという状況であった。
また,事業所規模が小さいほど従業員の健康に対して事業主が責任を感じている割合が低く,健診実施率も低くなっていた。
以上のことから,地域産業保健における保健婦活動のあり方としては,事業主・従業員の「健康に対する意識」の向上への働きかけの必要性と,それにより健康管理が促進する可能性が示唆された。
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