特集 ケアマネジメント
II章 ケアマネジメントの背景
ケア・介護の社会的,経済的位置づけ
栃本 一三郎
1
1上智大学(文学部社会福祉学科)
pp.997-1002
発行日 1997年11月25日
Published Date 1997/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901675
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はじめに
ケアや介護はどのように社会の中で位置づけられるべきであろうか。また従来位置づけられてきたであろうか。本論では,介護保険,およびケアマネジメントを必要としている介護をめぐる社会的,経済的背景がどのようなものなのか,また,将来どのような影響を社会的,経済的に及ぼしていくのか,総論的に論じていくことにする。ただし,総論的にといっても,一般的な意味で,ケア・介護の社会的・経済的位置づけを論じても,本特集の中ではあまり意味はないであろう。ケアプランやケアマネジメントという作業を考えるうえでの留意点という意味で論じていくことにする。
一般に,最近の議論では,本人や家族が要介護状態に至った場合,社会的に対応がなされるべきであるといわれる。家族の負担が精神的にも肉体的にも,また経済的にも過重な負担となっているということが論拠となっている。そして,多くの場合,介護の負担は心身ともに女性に大きくのしかかっているといわれ,また,女性の就労や社会参加の阻害要因となっているとの指摘も多い。
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