特集 変容するケアの時代の法的・経済的枠組み
[総論]変容するケアの時代の法的・経済的枠組み—高齢化社会の看護・介護の役割とその経済
高木 安雄
1
1社会保障研究所調査部
pp.498-504
発行日 1993年6月1日
Published Date 1993/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904283
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増大する看護・介護ケアのニーズとサービス体系
看護・介護の問題は,21世紀の高齢化社会を前に国民の大きな関心を集め,中高年層の間では寝たきり・ボケ恐怖症すら生まれているという.行政的にもこうした問題については,さまざまな取り組みがなされており,老人保健施設や老人訪問看護ステーションなど,新しい施設が次々と創設されている.そして,今回の医療法改正による療養型病床群の登場など,ケアを担う看護職はその背景と今後の方向をきちんと理解しておく必要があろう.
しかし,寝たきり老人も65歳以上人口の5%程度であり,病院や特別養護老人ホームなどの収容施設に入院・入所している老人も同じく7%弱であり,老人の多くは地域・家族に支えられながら天寿を全している.看護・介護の問題は,需要の過大さばかりが強調されて,その具体的な施設・サービス体系の検証と今後のあり方について十分な検討がなされてこなかった.今こそ看護・介護の専門職の社会的な発言が求められている.
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