特別記事
厚生白書をどう読むか
山根 洋右
1
1島根医科大学環境保健医学
pp.898-902
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901661
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●「健康」と「生活の質」をテーマにした今年の厚生白書は,わかりやすい内容もあって注目を集めています。先月号では,作り手の厚生省としては保健婦に何を読み取ってほしいかこ執筆いただきました。本稿では,公衆衛生の立場から白書をどう読むのか島根医科大学の山根洋右氏に提言いただきます。(本誌編集室)
今年の厚生白書は面白い
砂遊びをしている子どものなつかしい情景を表紙に描いた平成9年版厚生白書(以下,白書)が出ました。今年の白書は,「国民に分かりやすく」「国民にとって利用価値があり」「国民とともに考える」白書とする編集方針が冒頭に掲げられています。白書のタイトルに「健康と生活の質の向上」という社会ニーズに対応したキー・コンセプトを押し出しているのも注目されます。内容は,「国民が当面する緊要な課題」「社会ニーズに対応する厚生行政の動向」「世界的な社会保障をめぐる潮流」をコアとして組み立てられています。現代社会のおかれているグローバル化,高度情報化,高度技術革新,地方分権の流れ,高齢化と少産少子化,健康・安全・ゆとり志向,公衆衛生のパラダイムチェンジなどの時代背景が強く意識されています(Box1)。
従来の取っつきにくい内容から,国民の緊要な課題や日常的な健康問題に標的を絞り,国民と共に考えるための情報提供に徹して親しみやすく,政策紹介,トピックス,制度概要,基礎統計,参考資料など多彩な構成も読者に便利なスタイルとなっています(図1)。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.