連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・11
女性障害者の人権—正常子宮摘出問題
堀口 悦子
1
1明治大学大学院法学研究科
pp.908-911
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901446
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優生保護法から「母体保護法」へ
「法律」という少々硬い話から始める。「法律」というと,たいていの人が思い浮かべる憲法・刑法・民法は法務省の管轄であるが,行政法の特別法である優生保護法の管轄は厚生省であり,精神保健課直接の担当であった。
優生保護法はその名のとおり,第1条に,「不良な子孫の出生を防止するため」という目的をもった,優生思想を反映した差別的かつ人権侵害の法律である。「優生保護法」を英訳すると“the Eugenic Protection Law”であり,欧米人は“Eugenic”と聞いたとたんに,「ナチス」を連想する。実は,この優生保護法の前身である,第二次大戦中に作られた国民優生法は,ナチス・ドイツの断種法1)を手本に作られたのであった。
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