巻頭言
精神障害者の人権保護をめぐって
高臣 武史
1
1国立精神衛生研究所
pp.4-5
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204080
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報徳会宇都宮病院事件以来,わが国の精神障害者の人権問題がいろいろ論議されている。1985年4月には国際法律家委員会その他がわが国に調査団を送り,いくつかの病院を視察し,関係諸団体の人たちに会っている。調査団の最終報告はまだ出されていないが,8月の中間報告ではわが国の精神科医療体制,精神衛生法を厳しく批判している。
その指摘には必ずしもわが国の実情にそぐわない点もある。しかし今の精神障害者医療には多くの問題点があることも確かである。厚生大臣も1987年春には精神衛生法を改正することを明らかにしているし,厚生省保健医療局長は入院患者の通信と面会に関するガイドラインを出した。また公衆衛生審議会精神衛生部会はアルコール関連問題対策に関する意見を具申し,同部会にアルコール関連委員会が新設された。
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