調査報告
地域の老人の健康自己評価(健康感)と保健婦による健康問題のとらえ
小玉 敏江
1
,
長谷川 美香
1
,
笹井 美由紀
2
,
栃澤 裕子
3
,
古坊 吉美
4
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
2狛江保健相談所
3狛江市健康課
4調布市健康課
pp.390-398
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901360
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●要約
健康診断や健康相談の場面において,出会った対象者が継続援助事例へと変化するか否かは,個々の看護職の内面で行われているアセスメントの結果による。本研究は老人を対象とした看護職のアセスメント過程に焦点を当て,傾向を明らかにすると共に,個々の内面で行われているアセスメントを表現することを目的とした。
アセスメント項目の「健康自己評価」「現疾患・既往歴」「保健行動」「人間関係」「印象」の各項目と「総合判定」との関連性は有意に認められた(危険率α=0.005)。保健婦により「総合判定」との関連性の強い項目は異なってはいたが,アセスメントの過程において「現疾患・既往歴」が重視されていた。また,「総合判定」結果は本人の「健康自己評価」と一致していた。
全保健婦の「総合判定」が一致した事例は,33例中6例(21.2%)で,判定が著しく分かれた不一致事例は,10例(30.3%)あった。判定の不一致は,老年期の生活に規制を加える保健行動指導は必要なのかなどの個々の判定基準が働いたこと,記録の不備による情報の質や量への影響,保健婦の業務上の背景等によるものと考えられた。
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