調査/保健婦
保健婦の健康意識と保健行動—自らの健康問題と老人保健指導
百瀬 義人
1
,
江崎 廣次
1
,
重松 峻夫
2
,
和気 健三
3
1福岡大学医学部衛生学教室
2福岡大学医学部公衆衛生学教室
3神戸市西保健所
pp.486-494
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207340
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要約
著者らは,都市の保健所保健婦を対象としてアンケート調査を実施し,保健婦自身の健康問題を考察するとともに,老人保健指導の際,重要と思われる保健行動に対する彼女らの考え方を検討した。その結果は次のようにまとめることができる。
(1)29%の保健婦が健康への自信に否定的で,彼女らの特徴をみると生活の中で積極的にやや乏しいことがうかがえた。住民の健康を指導する立場にある保健所の職員として,考慮すべき問題であろう。健康を害する要因としても,職場の人間関係等各種の要因を認めた。1つ1つ要因を排除しながら,保健婦自身が自分の健康に自信をもてるよう努力すべきと考える。
(2)健康のためすすんで実行していることや気分転換の方法において,体を動かす割合が少ないことを認めた。保健指導を担当する保健婦として日常生活を振り返りながら,栄養・運動・休養のバランスのとれた生活をめざして,積極的に改善すべきであろう。
(3)老人保健指導において保健婦が重要と考えていることは,「生きがいをもつ」,「年1回は健康診断を受ける」,「栄養・運動・休養の健康三原則を守る」であった。さらに,「ストレスをさける」,「リラックスする」等の精神的面での健康ならびに「減塩」についてもかなり重視していた。特に「生きがい」問題は最も多くあげられたが,その具体的な対応は今後の重要な課題であろう。
本研究の概要は,第44回日本公衆衛生学会総会(昭和60年10月,於富山)において発表した。
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