特集 老人保健と保健婦活動
調査報告
地域看護からみた老人の健康管理の問題点—とくに保健婦活動の重要性について
伊藤 暁子
1
,
水田 和子
2
,
山中 チヨエ
3
,
成松 清枝
4
1徳島大学教育学部看護学教室
2徳島県日和佐保健所
3徳島県海部郡日和佐町役場
4徳島県海部郡由岐町役場
pp.668-674
発行日 1976年10月10日
Published Date 1976/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205763
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はじめに
昭和38年7月,老人福祉法の制定をみてすでに13年が経過した。当法では,第2条および第3条にその基本理念が示され,老人の生活と医療の保障や労働機会の確保など積極的,先駆的性格を有している。しかし老齢人口の増加にともない,全国的課題として老人福祉の推進が強く望まれているにもかかわらず,現実には大きな矛盾がある。たとえば,老人福祉法における健康管理については健康診査や疾病の予防とリハビリテーションなどが含まれ,なかでも第10条の老人健康診査の実施は,健康管理の重要なポイントとされているが,全国統計1)の示す老人健康診査の受診率は極めて低く,この数年間20%前後にとどまり5人に1人の割合である。
受診しない理由としては,現に医療を受けている者や健康に自信があり必要でないと思っている者,簡単な診査だから受けても仕方がないと思っている者,寝たきり老人や身体不自由な者,医者嫌いや病気がわかるとこわいという者,治療費に困るからという者などがあげられている1)。たとえ受診しない理由は種々あろうとも,この受診率だけをみても老人福祉法の理念が十分生かされていないことがわかる。
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