活動報告
保健指導に役立つ健康診断システム改善の試み—コンピュータの利用を中心として
小笹 美子
1
,
能勢 隆之
2
1元JA島根厚生連
2鳥取大学医学部公衆衛生学教室
pp.383-389
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901359
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●要約
近年の集団健康診断(以下,健診)データには,保健婦が健診現場で感じる地域の特徴や生活の匂いが現れにくく,保健指導のデータとして不十分になってきた。また,健診の検査データを頼りにした指導は,疾病を持たない受診者に対して抽象的な指導になりがちで,もどかしさを感じるようになってきた。
そこで,受診者の経年データの活用や国際疾病分類の採用や生活習慣・有訴症状(自覚症状)のコード化などを柱として,保健指導に役立つ健診情報システムの検討を行い,健康診断個人票・個人結果票・集計データのグラフ表示を新たに作成し,健診のレベルアップにつなげた。
その結果,経年データの利用により,受診者自身が自分の健診結果を生活習慣改善のきっかけとして理解するようになり,健康増進への意欲を高めることができた。また,生活習慣や有訴症状をコード化することで,健診結果判定が「異常なし」の受診者の中に存在する生活習慣病予備軍に対しても,保健指導が実施できた。さらに,有訴症状などを検査データや診断結果と併せて多角的に検討し,多数の健診受診者の中から,保健婦の個別指導が必要なケースを抽出することができ,家庭訪問活動や個別相談につなげることができた。
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