特集 伝えたい情報・知りたい情報
人々の気持ちを知り,気持ちを分かち合う—情報社会の進展の中でコミュニケーションの本質が問われている
平林 千春
1
1コミュニケーションシステム研究所
pp.112-116
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901316
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1本の電話が企業の行動を変えた!?
情報技術,情報システムの進歩により,マルチメディアと言われるデジタル・ネットワーク社会が現実化しようとしている。そこではあらゆる情報がデジタル化されて,伝送され,蓄積される。そして高速にどこにでも送られていく。当然,国境の壁はなくなり,時間と空間の限界は突破される。誰もが必要な情報をいつでも手に入れたり,送ったりすることができる。
今年になって一気にブームになった世界中のコンピュータネットワークを網の目状につなげた「インターネット」は,今や世界中で6000万人の利用者がいると言われるが,そこでは「バーチャルモール」と呼ばれる仮想の商店や商店街が生まれ,そこで商品を見たり購入することができる。あるいは「電子メール」や「仮想会議室」で自分の意見を誰にでも届けることができる。コンピュータと通信回線がつながり,音声も動画も文字もすべてデジタル情報に変換され,デジタル信号として送られていく。今まで時間的,空間的な制約のあったコミュニケーションが飛躍的に向上することになる。それを予感した人々は,家庭における情報端末の必要性を感じ,今やパソコンを買い求める人たちが,電器店に殺倒している。
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