特集 保健所の機能強化を考える
保健所機能強化論
保健計画
[私の考える保健計画]保健行政の役割認識と行政評価の視点
新藤 宗幸
1
1立教大学法学部
pp.1048-1050
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901280
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地域保健法の制定以降,いずれの自治体も新たな保健行政の体制を整えるために,試行を重ねている。保健所を設置している市ならば,1人の首長のもとで保健所機能と福祉行政機能との統合を,比較的容易に行えるだろう。だが,保健センター(健康管理センター,母子保健センターなどを含む)などを設置しつつも,府県の保健所に地域保健行政の多くを依存してきた市町村にとって,市町村重視の原則のもとで保健・福祉行政をいかに展開するのかは,決して容易に解答の得られる課題ではない。同時に,県保健所さらには県本庁の地域保健行政部局も機能の再編成を求められているが,市町村との連携を基本に県—市町村関係を再編成するのは,難題であるといってよい。
地域保健法第7条は,保健所の事業として,所管区域の地域保健情報の収集や分析,地域保健に関する調査および研究などを,新たに規定した。石川県羽咋保健所の大森せつリポートにある「住民モニター制導入による地域保健活動総合システム化事業」も,この新たに法文上に規定された保健所の活動に,応えようとするものといえよう。この事業は,大森リポートを読むと2段階となっており,まず住民へのアンケート調査によって,保健・福祉事業のニーズ状況を把握し,次に一般公募による住民モニターを主体として,保健事業の評価を行おうとするものである。
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