特集 公衆衛生における医療
医療行政における保健所の役割
佐藤 牧人
1
,
嵐田 光宏
2
1仙台市青葉区保健福祉センター
2仙台市青葉区保健福祉センター管理課
pp.892-897
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902868
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
院内集団感染や医療事故,そしてO 157の集団感染など医療の安全や健康危機にかかわるニュース報道がなされ,届出や原因解明の調査など,保健所の名前を耳にする機会が多くなった.しかし,われわれ保健所や公衆衛生分野で働く者は,これまでややもすると予防医学を中心とする公衆衛生の実践である「保健」と治療医学を基盤とする「医療」の分野を大別し,医療にかかわることに対して関心が薄かったり,遠慮があったり,あるいは専門外として意識的に避けて通ってきた感も否めない.しかし,保健所はもともと医療にかかわる業務を数多く行っており,また否応なしに院内感染事例などに直面する現実がある.国民の健康確保に携わる第一線行政機関として保健所の公的責任は大きく,医療の安全などを願う国民やマスコミの期待と批判の目が注がれることは当然と思われる.
本稿では,現在医療行政と保健所のかかわりが重要な転換期を迎えているとの認識に立ち,保健所が積極的に果たすべき役割について述べる.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.