連載 家族を考える・11
女性学から見た日本人と家族
春日 キスヨ
1
1京都精華大学
pp.920-921
発行日 1995年11月10日
Published Date 1995/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901257
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多様化する家族観
日常生活で人が「家族」について語るとき,自分の持つ「家族観」と相手の持つ「家族観」が同じであるという前提に暗黙のうちにたってしまっている。しかし,性別や世代によって,これほどそれぞれの「家族観」が多様化している時代はないだろう。伝統的な「家族」は,血縁であること,法律的に保証されていること(婚姻届けや出生届けなどによって),一緒に居住していること,経済的に共有しあっていることなどを基準にして成り立っていると考えられてきた。
しかし,こうした基準は,だんだん家族の外枠にすぎないと考えられるようになり,個人が「家族」に対して持つ主観的感情がもっとも重要なものになってきている。これを「家族の個人化」と呼び,それぞれの個人の持つ「家族」イメージを「ファミリー・アイデンティティ」という識者もいる。
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