連載 西村かおるの訪問看護留学記—英国編・6
外国人から日本人を見ると……
pp.616-619
発行日 1987年6月1日
Published Date 1987/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921749
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同じ島国でもこうも違う英国と日本
朝,下宿先のイタリア人の家を出て,オーストラリアから移住して来た運転手のバスで駅に向かう.アラブ系の駅の係員から切符を買い,列車に乗って実習場に着く.マレーシア人のヘルスビジターと,インド人医師の患者であるフィリピン人の家庭を訪問.それにかかわっているソーシャルワーカーは中国人.そして,私は日本人.
これは,ある日私が実習場で経験したことだがほとんど,単一民族の日本から考えると信じられないような事実だ(ポーカーでいうならば,フルハウスという感覚.よくも揃ったものだ).マレーシア人のヘルスビジターは,こっちで生まれたわけではなく,看護学校からこの国に来たというのだから,日本ならば大きなニュースになるだろうが,この国では特別珍しいことではない.厳しい社会階級を築きながらも,様々な人種を受け入れている英国,そこに吸収された一人として,私はぐらつき始めた.
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