特集 スピリチュアリティと病院
日本人にとってのスピリチュアリティ
鎌田 東二
1
1京都造形芸術大学
pp.538-542
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100038
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歌に現われた日本人の「スピリチュアリティ」
「日本人にとってのスピリチュアリティ」とは,何よりも,生きる基盤としての自然といのちに対する畏怖・畏敬と親愛の念であり,その存在感覚であると思う.そのことを考える材料として,まず三首の歌を取り上げてみたい.
岩走る垂水の上のさ蕨の萌えいづる春になりにけるかも
田子の浦ゆ打ち出でてみれば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける
敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花
第一の歌は,『万葉集』に収められた志貴皇子の歌である.志貴皇子は天智天皇の第七皇子で,『万葉集』に六首の歌が収録されているが,いずれも秀歌として名高く愛唱されている.
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