特別寄稿
ミシガンにおける日本人女性とその家族の健康を支える看護の役割
春名 めぐみ
1
,
余 善愛
2
1東京大学大学院医学系研究科
2East Ann Arbor Health Center
2East Ann Arbor Health Center
pp.808-812
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100821
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海外において妊娠や出産をされる方は増えてきています。妊娠や産褥期は,決して病気ではありませんが,環境が整っていなければ,さまざまな障害が生じる可能性があります。必要な環境条件としては,質の高い医療が存在するだけでなく,安心して受診しやすいというアクセシビリティが確保されていることが重要であるといえます。また十分なサポートがなければ,楽しいはずの妊娠から子育てまでが,とてもつらいものになります。しかし海外においては,言葉や文化の壁によって,これらが十分に満たされないことも多いのです。
海外赴任というと,一見華やかなイメージもありますが,両親や兄弟,仲のよい友人などからの助けも受けにくく,場合によっては,日本にいる時よりも狭い日本人社会に直面することになります。特に夫の職場での地位がそのまま妻同士の関係に影響することもあり,利害関係や上下関係のない単純な友人関係をつくるのが難しい状況も起こりえます。夫は仕事のうえで十分な業績を果たすことが求められ,子どもは,言葉や文化の壁を越えて,新しい学校や友だちに適応していくことが求められます。妻である女性は,こうした家族がライフタスクを担う背景で,彼らを支える役目をとることが往々にして求められます。
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