特集 これからの保健婦教育—現場での戸惑いを中心に
保健婦の基礎教育の現状と課題
宮地 文子
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.708-714
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900748
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はじめに
わが国の保健婦活動は,50年の歴史が物語っているように,各時代のヘルスニーズに応えて絶え間ない変化を続けながら発展してきた。そのためか,保健婦活動が始まってから今日まで,「保健婦とは何をする人か?」「保健婦の専門性とは何か?」という話題がいつも先行していないだろうか。保健婦活動の実績をしっかりと評価して,先人の開発した保健婦の諸技術を後輩に伝える努力をしたいと思う。
保健婦の活動は地域の人々の健康生活の向上をめざして,いつの時代もプライマリ・ヘルス・ケアの理念に基づいて展開されてきた。いま,地域社会の生活を支える経済活動や社会システムが大きく変わろうとしている。そして保健医療福祉の分野においても,高齢化社会の進展によって総合的で質の高いこれらの社会サービスが,いつでも,どこでも得られやすい仕組みが強く求められている。福祉八法の改正,医療法の改正に続いて保健所法改正も間近いと言われ,保健福祉施策の推進にあたって保健婦業務のあり方をめぐる諸議論が錯綜している。
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