特集 現代の病める子ども—こころとからだ,そして社会
発育・発達不良がある子どもと家族への保健婦の援助
上野 昌江
1
,
山本 裕美子
2
,
長池 敦子
1大阪府立看護大学
2大阪府保健所
pp.1013-1017
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903589
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はじめに
地域において保健婦が子どもたちと出会う場は,乳幼児健診や家庭訪問である.乳幼児健診では,子どもの発育・発達状況から先天性・後天性の障害や疾病を早期発見し,治療や療育に結びつけ,さらに,家族の養育問題を見きわめ適切な支援を行なっていくということが大きな課題となっている.
養育問題として乳幼児健診等でもっとも多くみられるものが,発育・発達不良(体重増加不良)である.発育不良が生じる要因としては,出生時の体重が少ない(低出生体重児),母乳栄養がうまくいかない,ミルクを飲まない,離乳食がすすまないなどの原因がわかりやすいものから,親子・家族関係など潜在的な問題を含んでいるものまで多様である.そのため発育・発達不良がある子どもへの援助の必要性や援助のレベルを見きわめることはなかなか容易ではない.しかし,乳幼児期にこの問題が解決されない場合は,重大な虐待や死亡という最悪の結果を招く可能性を持ち,発見や支援において保健婦に大きな役割が期待されている1,2).
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