連載 生活の場から看護を考える・29
伝える—伝わる(3)—聞こえるのにわからない
工藤 禎子
1
1生活の場から看護を考える会
pp.566-567
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207773
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乳幼児が言葉を得るまでには,聴覚的にとらえられた音から次第に単語を聞きわける,言葉と意味と結びつける,発声から発語するなどの過程を経て総合的な言語能力を身につける。しかし,言葉は単に聴覚をとおして得られるのではなく,話しかけの調子や声のリズム,皮膚への触れ具合や,表情,素振り,たちいふるまいなどから得られるあらゆる感情をとおして獲得される。伝えたい内容,この人に伝えたいという伝える相手との関係,伝えようとする意思などの多くの要因も伝達量に関係している。『伝える—伝わる』は,言語の量や正確さだけに左右されるのではない。今回は,脳卒中後遺症のために『伝わる』機能に障害をもった人の言語活動の特徴を示し,当人がどのような『伝える—伝わる』を経験しているかを考えてみたい。
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