明日の検査技師に望む
暖かい,協調性のある検査技師
熊坂 一成
1
1日本大学医学部臨床病理学
pp.23
発行日 1994年1月1日
Published Date 1994/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901773
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■毎日の臨床検査が楽しい,明るい検査技師
“自称”内科医であった私は,血液像や細菌のコロニーの判定ができず,臨床化学や血清学の知識も欠如していた.十数年前,突然,検査室に闖入したこの未熟な内科医は,日大病院の若い臨床検査技師の皆様に,手取り足取り検査の基本を教えていただいた.今,皆様からのご親切に改めて感謝をしている.検査室の旅行やコンパに誘っていただき,ルーチン業務が終わった後に安い酒を一緒に飲みながら,臨床検査の将来について夜明けまで語り明かしたこともある.そんな若い私たちを横目に,「内科の医者にそんなに検査のことを教える必要はない」と聞こえよがしに言った年上の技師がいた.また彼は「検査技師なんて,男子一生の仕事ではない.俺はいずれこの病院を辞めるんだ」ともうそぶいていた.私は呆れた.そして,この新しい職種の将来に一抹の不安を感じた.毎日の仕事が苦痛と不満に満ちている人生は辛い.本誌の読者は臨床検査を愛する,日々の仕事が楽しく明るい検査技師であってほしい.プライドとは,決して与えられるものではなく,日々の実践と反省の中から生まれるものである.
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