焦点 研究における"こだわり"の大切さ
解説
こだわり
小此木 啓吾
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科教室
pp.1-6
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200735
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こだわりとは,どうでもいい問題を必要以上に気にすること。あるいは,そのことにとらわれ,心奪われることである。つまり,気にするとか,クヨクヨするとか,悔やむとか,過剰に意識するとかという言葉と近い心理的な意味をもつもののようである。
臨床的に,こだわるということについて,まず私の心に浮かぶのは,形成外科の患者さんを継続的に診療していたときの経験である。形成外科には,交通事故で二目と見られないような顔の人が次々に診察を受けに来る。そういう形容は失礼だが,ボロボロになったボロきれをつなぎ合わせたように,どこが目でどこが鼻だかわからないひどい顔の状態で来診してくる。
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