特集 喫煙と禁煙
喫煙の心理—習慣病の理解を深めるために
小川 浩
1
1愛知県がんセンター研究所疫学部
pp.283-288
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207515
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はじめに
高齢化社会を迎え,がん,心臓病,脳卒中などの成人病対策はますます重要な課題になりつつある。成人病の多くは飲食習慣,喫煙,運動,休養などの日常生活習慣と深い関係にあるため,「習慣病」とも言われている。これら習慣病の予防には,習慣の除去・改善を要し,そのためには人間行動の心理や社会システムの理解が求められる。とくに喫煙は肺がんをはじめとする様々ながん,心臓血管疾患,呼吸器,消化器の疾患の原因となっていることがあきらかなので,喫煙対策の意義は大きい。以下には,喫煙習慣がどのようにして形成されるのか,どうして人はたばこを吸うのか,といった動機心理的背景を中心に考える事柄を述べてみたい。
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