特集 喫煙問題
喫煙の心理学
後藤 啓一
1
1北海学園大学経済学部産業心理学
pp.761-764
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205958
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■はじめに
喫煙に関する心理学的研究については,主に喫煙動機形成についての分析や,あるいは喫煙習慣にみられる心理学的徴候についての研究が多い.これらに関する代表的な論文は,1973年にウィリアムL. ダン(William L. Dunn, Jr.)によって "Smoking behavior--motives and incentives" としてまとあられた.この論文集は,喫煙行動を世界で最初に取り上げた学際的な研究の集大成といわれている.これらの論文は,1975年に広田君美教授(関西大)らを監訳者として,たばこ総合研究センターによって翻訳された1).それらに所収されている論文は,主に「喫煙行動をささえる動機は何か」をめぐって医学者,生化学者,心理学者,社会学者,文化人類学者などによって検討が加えられたものであった.
本論ではまずはじめに,それらの論文のなかから心理学的な研究のいくつかを紹介し,ついで筆者が行なった青少年の意識調査のなかから喫煙に関するデータをもとに青少年の喫煙動機にふれ,さらに成人の生活意欲調査における喫煙と保健への態度の関連分析のデータを通じて,喫煙行動の社会心理学的側面について考察していくことにしよう.
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