研究
喫煙習慣の形成と環境要件
石崎 龍雄
1
,
石田 昌久
1
,
西山 逸成
1
1自衛隊体育学校
pp.290-293
発行日 1968年6月15日
Published Date 1968/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203696
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
過去半世紀間,呼吸器の悪性新生物とくに肺癌による死亡率は,世界各国とも徐々に増加している1),2)。日本においても,気管・気管支および肺の悪性新生物による死亡率は昭和22年の男子1.4,女子0.6から次第に増加して,昭和38年には男子10.1,女子4.03)と約7倍に達した。そして,紙巻きたばこ(以下単にたばこという)がその原因の大きな部分を占めている事は,医界人にとってすでに常識とされている。たばこは,そのほか冠疾患および胃・十二指腸潰瘍にも関係すると言われている4)し,咽喉頭疾患あるいは気管支疾患に悪影響のある事は喫煙者の誰しもが経験している。
要するに,たばこが「百害あって一利なし」のものである事はまちがいない。アメリカでは,法律によって「たばこは健康に有害である」と包装に明記するよう定められている。しかるに本邦では,国営である専売公社は「今日も元気だ,たばこがうまい」と宣伝し,厚生省は「たばこの害が確定されたわけではない」と問題を回避している状態である。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.