研究報告
地域リハビリテーションの発展要件―川崎市多摩保健所における「健康回復教室」活動の展開をとおして—1報■「教室」の発展の過程と人々の関わり方
長弘 千恵
1
,
深江 久代
2
,
福本 恵
3
,
佐野 史和
4
,
趙 留香
5
,
坪 捷江
6
,
福永 春美
7
,
石川 ヨシ子
8
,
島内 節
9
,
八代 悠紀子
9
,
日野 秀逸
10
1福岡県岡垣町役場
2静岡県立厚生保育専門学校
3京都府立保健婦専門学校
4岐阜県関保健所
5韓国人口保健研究院
6青森県立青森高等看護学院
7熊本県中央保健所
8沖縄県精神衛生センター
9国立公衆衛生院衛生看護学部
10国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.706-718
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207369
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
人口の高齢化が進むなかで,障害を持ちながら地域で生活する人々の数が増加してきており,昭和57年の老人保健法の制定に伴い,これらの人々に対する従来の施設収容型ケアから,地域生活を基盤としたケアへの転換に向けて,地域を単位とした諸施策が進められている。その一端として,同法により障害を持つ人々に対する機能訓練事業が行われるようになったが,多くの場合,第一のねらいを運動機能の促進においている。
ところが,地域のなかで生活している障害を持つ人々の多くは,機能訓練による運動機能のめざましい回復が望める時期を過ぎており,障害がその人の社会生活を規定し,社会とのつながりが稀薄になりやすく,また,家に閉じこもることによって身体上の問題のみならず,うっ屈した精神状態に陥りやすい状況にある。これらの人々に必要なものは,運動機能の回復もさることながら,社会参加の場の確保であるといえよう。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.