連載 呆け老人の地域ケアの方向を探る・3
埼玉県所沢市における在宅呆け老人・家族の実態調査(2)
高崎 絹子
1
,
野川 とも江
1
,
佐々木 明子
1
,
安田 美弥子
1
,
内田 英子
1
,
伊藤 景一
2
1埼玉県立衛生短期大学
2東京女子医大看護短期大学
pp.306-313
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207311
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〈B 呆け老人の日常生活の問題および性格特性〉
1)日常生活動作の自立度と問題行動
(1)日常生活動作の自立度と介助の必要性
日常生活動作として,〈食事〉〈衣服の着脱〉〈排泄〉〈移動動作〉〈清潔〉〈会話能力〉〈言葉の理解〉の7項目についての自立度を介助の必要度からみたのが図8である。いずれの動作とも4〜5割の老人は,介助の必要性がなく自立していた。なかでも,〈排泄〉62.4%,〈会話能力〉65.4%と,6割以上の者が介助の必要がなく,自立度が高い傾向がみられた。
一方,全面介助を要する者は,〈清潔〉28.1%,〈衣服の着脱〉21.2%の順に多くみられた。第3位が〈排泄〉14.7%であり,介助の必要ない者の割合が多い反面,全面介助を要する者も比較的多いことがわかる。中島らの家族の会の会員を対象にした調査10)では,〈清潔〉〈衣服の着脱〉および〈排泄〉の全面介助を要する者の割合は,49.5%,41.6%,34.7%であった。したがって,本調査と比較すると3項目の順位は同じであるが,いずれの場合も,全面介助を要する者は2割以上も多い結果であり,本調査の対象者は,日常生活全般にわたって,比較的自立度が高い傾向がみられた。ただし,家族の評価であるため問題の認識の差によるものとも考えられる。
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