連載 呆け老人の地域ケアの方向を探る・2
埼玉県所沢市における在宅呆け老人・家族の実態調査(1)
高崎 絹子
1
,
野川 とも江
1
,
佐々木 明子
1
,
安田 美弥子
1
,
内田 英子
1
,
伊藤 景一
2
1埼玉県立衛生短期大学
2東京女子医大看護短期大学
pp.126-133
発行日 1987年2月10日
Published Date 1987/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207285
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はじめに
在宅呆け老人とその家族に対する地域ケアについて考えるとき,呆け老人や老人を取りまく家族の特有の問題に視点を向けることが重要であるが,従来は呆け老人の知能レベルに焦点があてられ1,2),知能スケールを指標にした調査が行われることが多かった。
しかし近年は,呆け老人に関しては,「原因が何であっても老人になって精神機能,とくに知能が多少とも持続的に低下するために周囲の状況への正しい判断や対応ができにくく,一人で日常生活を営むのがおぼつかない状態」3)という呆け老人の定義にみられるように,知能レベルそのものより,それによってひき起こされる問題行動と家族を含めた生活上の支障に,より重点がおかれるようになった。このことは呆け老人の医学的管理そのものより,家族の介護力や家族関係など,老人を取りまく家族環境への働きかけ,すなわち家族援助が,在宅呆け老人対策の基本であることを示すものであるが,こうした観点に基づく調査1,5)もいくつか報告されている。
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