研究
老人の虐待と支援に関する研究[1]—埼玉県市町村保健婦に対する実態調査から
高崎 絹子
1
,
佐々木 明子
2
,
谷口 好美
1
,
水野 敏子
1
,
千葉 由美
1
,
矢野 章子
1
,
渡辺 アサ子
3
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
2山形大学医学部看護学科
3埼玉県保健婦連絡協議会
pp.966-977
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901266
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はじめに
老人虐待の用語が日本で用いられるようになったのは最近のことである。したがって,その概念についても必ずしも明確とはいえないが,老人虐待が深刻化しているアメリカ合衆国では種類と定義を次のように示している1)。「虐待とは意図的な傷害の行使,不条理な拘束,脅迫,または残酷な罰を与えることによって,身体的な傷,苦痛または精神的な苦痛をもたらす行為」,また「家庭内老人虐待とは,配偶者,兄弟,子ども,友人,ケアの提供者ら,老人と特別な関係にある者によって老人自身の家,またはケア提供者の家において行使される,何らか形によるひどい取り扱いのこと」である。
わが国の場合,国民性の違いの背景もあり,家族や老人,また,援助する立場にある看護職や福祉職も実態として虐待が行われていても,それを虐待としてとらえることは少なく,虐待という言葉を用いることに対しても抵抗感がある。それは,ある意味では加害者である家族も被害者である場合も多いからである。
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