特集 自ら手をつなぎはじめた家族たち—呆け老人をかかえた家族は今………
呆け老人をかかえる家族の実態—≪呆け老人をかかえる家族の会≫の全国調査より
中島 紀恵子
1
,
安部 幸美
1
,
河西 久枝
1
,
黒木 美奈子
1
,
小郷 範子
1
,
斉藤 久美子
1
,
田村 まさ江
1
,
時田 実千代
1
,
山下 和子
1
,
枝元 玉枝
1
1千葉大学看護学部
pp.104-116
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206477
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
昭和55年10月1日現在,日本人人口は1億1,621万2,000人であるが,そのうち65歳以上老年人口は1,050万8,000人と全人口の9.1%を占めている。これが昭和65年には11.0%,昭和75年には14.3%,即ち1,900万人にも達するといわれ,全人口に占める高齢者の急速な増加が問題になっている。
このような老人人口の急増を背景として保健・医療・福祉制度の改善が試行された。中でも,老人医療費支給制度の導入は大きな改革である。これと前後して,ねたきり老人に対する在宅サービスも,各地各様の方法で進められてきた。いわゆる呆け老人の問題は,このような各地で試みられている在宅サービスの地道な活動の経過の中から,表面化してきたものと考える。すなわち,1つは,保健・医療・福祉行政の施行基準からはみ出している老人の問題として,2つに,不治の患者として,3つに家族介護機能を代替する親族,近隣,地域の各レベルにおけるネット-ワークの不備などによって,せっかく心ある労力などの提供者がいても,老人や家族に望まれるような方策を立てられない,といったことが,少しずつ明るみに出てきたのである。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.