連載 活動の中から
朱い箸
吉田 幸永
pp.1020-1021
発行日 1986年12月10日
Published Date 1986/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207253
- 有料閲覧
- 文献概要
1986年7月〇日,仕事から帰って洗濯機を廻していると表で声がした。誰かと出てみるとスマートな青年が紙袋を下げて立っていた。「ぼくMです。幸永さんが感冒で休んでいられると聞いてお見舞に箸を買って来ました。能登へ社員旅行に行って来ましたので……」「まあ,ありがとう,やさしいM君」「これ,母がつくったちまきです,食べて下さい」M君は職場の名刺と紙袋をさし出すと,さっさと帰って行った。銀の箱に納められた輪島塗のお箸。M君は旅先で私への土産をあれこれ考えて,こんなきれいなお箸を選んでくれた。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.