調査
行政からのプライマリー-ヘルス-ケアへのアプローチ(1)—医師と保健婦の協調に関するアンケート調査から—松戸市の例—
太田 重二郎
1,2,3
,
加藤 まち子
4
1松戸市役所保健衛生部
2千葉大学医学部
3千葉県立衛生短大
4松戸市保健衛生部健康管理課
pp.795-799
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206578
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はじめに
医師会(全医師会員)と行政(市保健衛生部)の関係をより密にするためアンケートによる調査を考えた。アンケートで医師会と行政との関係がすべて判断できるとは思わないが(アンケートは調査前からよい結果が出ることがわかっていると言う人もある),しかし,なんらかの方法によってお互いに意志の疎通を図ることが必要ではないかと思う。
はじめから私事(太田)で恐縮だが,千葉市に井上病院という個人病院があり,そこに昭和28年千葉大医学部第二内科医局から出張した。当時の院長は故花岡和夫先生(元千葉県医師会長,日本医師会常任理事)で,木更津,館山などへ夜間の往診時,往復の車中で医師としてのあり方についていろいろ教育された。例えば故西野先生の"臨床五十年"の感想とか,開業医はこのままではいけない,私(花岡先生)は開業した後も定期的に大学の第二内科へ行き患者を診療したとか,開業医はもっと勉強しなければいけない等々話された。その中で今も忘れることのできないのは,現在の公立病院(国立,県立,市立,国保病院等)が各地に設立されているが,開業医と国,公立病院が競合するような形をとったら,開業医は公立病院の資本力にはかなわない。公立病院と開業医とが役割分担を決めないで,無医村解消のために各地に公立病院が設立された場合,競合しお互いに傷つけ合い,患者不在の医療が出現するのではないだろうか。
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