連載 自分史からみた群馬の国保保健婦活動・5
ミルクも配給の時代
内堀 千代子
1
1元群馬県国保連合会
pp.694-696
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206558
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ミルクほしさに乳児相談に来た母親達
「保健婦さん,なんとか助けてくんねえかなあ」と人の好い衛生主任はほとほと困惑の体です。衛生主任の前では小さな赤ちゃんをおんぶしたお母さんが,「先月だってあの証明では半月しかなかったんですよ,あとは米の"スリエ"でつないだんですから,配給をふやしてくれなければ困ります」と必死です。当時は物資不足でなんでも配給で,そのなかでも母乳不足のための乳製品や砂糖の購入には役場の証明が必要で,その担当が衛生主任でした。
話をきいてみると,たしかに事務的な扱いでは無理なことがわかったので,このあとは毎月私達が育児相談をしながら必要量を計算して役場へまわすことにしました。ですから翌月の乳児相談には登録者の全員が出席しました。私達は母乳の分泌量を測定し,ミルクや砂糖の必要量を計算して,育児指導をするので,30数人の赤ちゃんがひととおり終わると,話し疲れてしばらくは口をきくのもおっくうなほどでした。
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