特集 環境汚染による健康被害者の救済
公害事例別にみた補償・救済の現状と問題点
砒素ミルク中毒
中川 米造
1,2
1大阪大学医学概論
2(財)ひかり協会
pp.407-410
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205857
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■はじめに
昭和30年に起こった森永砒素ミルク中毒被害者の恒久的救済を目的として,昭和40年4月に財団法人ひかり協会(理事長=曽田長宗)が創設された.その事業内容は,本号に収録されている他の公害病被害に対する補償・救済の方式とは異なっているばかりでなく,おそらく世界的にも類例がないものと思われる.これは,被害者の親たち,および救済について援助協力してきた専門家たちの創意により,全く新しい方式を生み出したものである.しかし,その特質が十分に理解されないこと,および理論と実践の融合がまだ十分でないことなど,問題を残している.
筆者は同協会の理事でもあるが,本稿では,その立場を離れて,個人的な責任において,協会事業の概要と問題について述べたい.
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