連載 スコットランド・デンマークのNHS・4
大ロンドンでの保健婦活動—ベックさんとの1日
山崎 摩耶
1
1新宿区立区民健療センター
pp.856-857
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206424
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ロンドンの繁華街を1人歩いていると,東京の新宿や渋谷に出かけた時と同じような気分にさせられる。それはだれも私に関心をはらわないせいだ。大都会の雑踏に漂う"無関心"を味わうことはここロンドンでも同じであった。大きなちがいは,行きかう10人のうち7〜8人は人種がちがっているといっても過言でないことであった。そして,女王様の住むロンドンでめだつのは皮膚の黒い人々――インド周辺やアフリカなどの――。ただ,かって訪れたアメリカの街とはちがい,表面的な差別や嫌悪に満ちた言葉や軽べつの眼ざしは街角では見られず,ここでもイギリス人の"寛大さ"に私はぶつかったのである。
ロンドンでは,中心地ビクトリア駅から地下鉄で30分あまりのベルサイズ-プライオリー-ヘルス-センターを訪ねた。私の興味をひいたのはここがいわゆるダウンタウンで,しかも移民の多い地域だということ。地下鉄駅を出ると風に新聞紙が舞いあがっていた。ちょうど昼食時だったので食事のできる所を捜したが,適当なレストランやパブが見あたらなかったのを思い出す。
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