連載 私達を育ててくれた事例・8【最終回】
援助の考え方(II)
久常 節子
1
1福井県立短期大学看護科
pp.37-43
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205794
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前回は"生活過程を整えるために"と,"生きていこうとすることへのかかわり"という2点から看護の援助をみてきた。前者は,患者としての役割を援助するためには,まず生活者である対象を受けとめることから始まり,一見,看護とは直接関係のないように見える行為でも,それが看護観に基づいて行われた行為であるかどうかで判断すべきであること,援助方法としては,家族の特定時における特定の問題に応じて,それぞれの立場から断片的に,偶発的に,個人中心の方向で与えられても,家族自らの問題解決機能の強化にはつながらない関係こそ重要である,又,種々の社会資源利用に関しても,対象の個別性に合わせて,その人にとっての資源たらしめる働きかけは,看護でもあり必要なことであるなどであった。
後者は,看護者の手から対象の身体に対する心をこめた触れは,人間の身体的接触に対する本来の欲求を満たし,生命力の活動をうながす援助につながる。又,対象の客観的状況を整えるだけでは不十分で,生きている意味が持てるような整えが忘れられてはならない。そのためにも,現在の負担をまず受けとめ,今後の方向や経過が十分見通せるように,その過程での役割を具体的に示し,それを保障する社会資源の存在を明らかにしていくことを強調した。
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