特集 精神障害者の家族理解のために
家族を治療者に,患者の人権回復を—東京あけぼの会の活動を探る
高杉 晋吾
pp.22-26
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204914
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東京あけぼの会(東京都精神障害者家族連絡協議会)は,東京世田谷上北沢3の15の1で診療所を開く小坂英世医師(40)の家族会として知られている。本誌でもすでに昨年10月号でこの会の中心的指導者である園田よしさんが「病院は牢獄である」という一文で「あけぼの会」の活動ぶりについては紹介されている。限られた紙数でしかも朝日新聞その他で紹介済みの家族会活動を改めて私が本紙に書くのもおこがましいことながら,私なりに労をとったのは,私宅監督から公的(病院)監督へと推移して来た日本の精神障害者収容の歴史の中で,「具体的な医療技術を伴いつつ社会の中で患者を守りぬく」という,口でいえば当然のスローガンのように響くこの行為が,大衆的力量の中で実行されている,ということに,私としては眼を見開かされる思いがしているからである。
このことは口でいうのは容易でも,実行するのは想像を絶する困難さを伴う。
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