特集 乳がんと闘う—治療・再建・看護+ボランティア活動
乳がん患者へのボランティア活動—乳がん体験者の会“あけぼの会”のボランティア活動の実際から
ワット 隆子
1
1あけぼの会
pp.774-782
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920819
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がん患者の苦悩は退院後に始まる
私は今から7年前,1977年2月に東京渋谷の日赤医療センターで乳がんの手術を受けた.37歳になったばかりの時であった.入院中は主治医やナースたちにやさしく見守られ,若かったから食欲もあり,傷の治りも早く,点滴でも抗ガン剤でもコバルトでもスイスイとこなし,苦痛は何1つなかったと言ってよいほど快適だった.乳がん患者の手術後の課題である患側の腕の上げ下げにしても,病棟の処置室にあった船のカジのような器械で,腕を肩の付け根から回す運動や,天井から下がったロープを使って,腕を引っ張り上げる滑車運動を毎日続けたので,退院時にはほとんど垂直に上がるようになっていた.
このように,精神的にも肉体的にもすっかり治った気持ちで退院した私が,入院中には全く予期しなかった苦悩に襲われることになる.
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