特集 これからの老人問題
北欧諸国の老人福祉
塚原 国雄
1,2
1東京農大
2富国生命老人建設委員ホーム
pp.22-25
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204240
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
老人ホームの視察のために,私は昨年の10月から11月にかけて,40日ほど,北欧とスイス・スペインなどを回ってきました。これら諸国の老人福祉について,少し述べてみます。
北欧は,デンマーク・フィンランド・スウェーデン・ノールウェイの順に回ったのですが,これらの国は,気候・風土・風俗・社会事情が似ており,いずれも社会的連帯と自治を重んじ,社会福祉の発展と地方自治の確立に力を注いでいます。北欧は世界有数の長寿国で,65歳以上の高齢者は総人口の10パーセントを越えています(わが国は昭和41年に6.5パーセント)。また,産業経済の発展に伴って,青壮年は農村を去って都市に集中して核家族を形成し,さらに,個人主義が徹底していて,スウェーデンなどでは,高校生ともなれば親と別居し,大学生の約3分の1は結婚しているとのことでした。結婚した学生だけの住むアパートも見ましたが,相当立派なものでした。スイスは,子供の別居は北欧より遅く,結婚して初めて親から離れるのが普通とのことです。このような事情もあって,老齢世帯はますます増加し,老人問題は一層重要視されるようになったものと思います。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.