特集 老人保健
先進諸国の老人対策の教訓
吉田 寿三郎
1
1大阪医科大学・衛生学
pp.542-547
発行日 1970年9月15日
Published Date 1970/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204134
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アメリカの老人対策
1967年モントリオール博視察後,サンフランシスコを訪ねてHirschberg博士にあった.老人のリハビリテーションに関する,彼の「シンプル・メソッド」に興味をもったからであった.次々に老人問題を扱っている諸家を紹介され,2,3日の予定が10日にわたる長居をしてしまった.カリフォルニアは気候がいいので,老病弱者でも生きながらえて,高齢者も増しているとのことであったが,老人対策は調査研究の域をあまりでていないとみた.
さる老人心理専攻のサイコセラピストにあってのことであるが,彼女は「電話による老人との対話」を通じて,情報を捉え措置する方法を試みていた.そして,なんとも致しがたい老人の情緒の乱れに苦しめられていた.日本人は,米国の老人がきわめて若やいだ服装をし,顔の皺のばしなどに余念のないのをよいことと受取っている.実のところは,老人とみられることは弱者とみられることであり,この自由主義経済社会では,弱者とみられれば淘汰をうけ易い.そこでなるべく若く見せようとしているのであって,深刻な努力のあらわれである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.