特集 これからの老人問題
「居宅ねたきり老人」実態調査実施について
石黒 チイ子
1
1全国社会福祉協議会
pp.26-29
発行日 1968年8月10日
Published Date 1968/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204241
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はじめに
昭和42年の老人人口(65歳以上)は,約667万人である。これが20年後には約1,300万人となり,総人口の11%に上ると推計されている。医学と生活の向上はさらに寿命をのばし,7月13目の新聞発表によると,男は68.91歳女は74.15歳とまた平均寿命がのびたことを報道している。このことは,私たちにとってよろこびなのか苦しみなのか,生きながらえて貧困と病苦,淋しさと孤独の老後であったら,寿命がのびたことがけして幸せとはいえない。寿命がのびて「生きていてよかった」といえるような老後,こういう老後の生活と医療の保障が完備されたとき,私たちは,ほんとうに寿命がのびたことをよろこびあえるといえるのではなかろうか。
このたび,全国13万の民生委員が一斉に「居宅ねたきり老人」の実態調査にとりくんだねらいも,社会からおき忘れられて,本人はもちろん,家族も物心両面において,はかり知れない苦痛と負担をになっている人びとへの福祉対策をたてる資料ともしたいという念願からである。
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