特集 食品衛生と食中毒
食中毒防止のための基本的考え方—食中毒予防3原則
春田 三佐夫
1
1東京都衛生研究所
pp.20-23
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204017
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昭和36年から昭和40年にわたる5年間におこった食中毒発生状況を,厚生省食品衛生課編の食中毒事件録から眺めてみると,全体的にみて食中毒発生件数,患者数は昭和39年までは,さして大きな変化はなかったが,昭和40年に入ってからは著しく減少し,それまでの約60%に減じているのがわかる。しかし集団給食施設における中毒発生状況については,発生件数,患者数とも絶対数では変化がない。したがって,全食中毒のなかでの割合は相対的にはむしろ増加していることがわかる。月別発生状況については,これも例年と全く変わりなく,やはり9月がピークで,次いで8月,10月になっている。
集団給食施設における食中毒発生の年次的推移をみると,50人以下の小規模給食施設での増加がみられ,学校給食では逆に大規模施設に増加の傾向がみられる。病院給食における中毒は幸いなことに減少しているが,一般に小規模給食では,給食センターなどからの配食による中毒事故の発生が目立っている。この点は今後外部の給食施設からの配食がますます増加する傾向にあるところからみて,等閑視できない問題であろう。
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